JUN MUSIC片倉です。

GW初日に開始した「JUN MUSICが推す作曲賞」ですが、早くもたくさんのご応募をいただき、嬉しい限りです🙌
早速すごい作品が届いたので、ぜひご紹介させてください!

この作品がグランプリとなった訳ではなく、他の作品が落選した訳でもありません!
引き続きたくさんのご応募をお待ちしております。


さむなうど「憧れ歩く」

トガり具合が「JUN MUSICが推す」ポイントです🙆
自分の好きな音を集めて、好きなように音楽を作るスタイルがとても素敵です!
後述するように、過去のさまざまな名曲に通じる要素が聴こえてきたのですが、
すべての要素は作者の必要性のもとに溶け合っていて、
総体として、繊細で凶暴な世界を表現していると感じました。

▼全体として
トラウマになるような喪失を経験した「少女」が、それを反芻し続ける様子を、独特な感性で描いた作品のように想像しました。

今回、ちょっと難解なイメージのあるこの曲が、
どんな要素でできているのかの分析にトライしてみます!

▼歌詞
明確なストーリーや、「恋愛」とか「夢」といった類型的な感情を表すのではなく、
言葉の連なりによって、言葉にならない無意識のイメージを喚起する詩だと思います。

人の域や位置
その全て失われるなら
すばらしい はずかしいね
花の息、風が、認識を
湯気の中、幻が形つ(かたつ)躯(むくろ)
無垢ね

声に出すと韻とリズムが気持ち良い!
なにやら痛々しい歌詞ですが、個人的には、か弱く儚い二次元少女というような感じはせず、むしろ傷つきながらもピラニアのように現実に食らいつくタフさを感じます。

▼歌
ボカロ曲らしい複雑な歌。
早口で歌っているため、印象が捉えがたいですが、
モチーフの展開があって重心を感じさせる、クラシカルな雰囲気をまとった旋律です。
3拍子のワルツのリズムと相まって、少し格調高さを感じます。

コード進行
コード進行はシンプルです。

Cm7 | EbM7/Bb | Fm7 | G7
[C Minor Key]

AメロBメロはこの4つのコードが繰り返される単純な構造。
2つ目のEbM7/Bbは IIIの和音で、浮遊感や不思議な感じがあります。
パッヘルベルのカノンにも似ていて、ポップスの王道進行という感じです。
サビでC Major Keyっぽく転調。Cの近親調で構成されており統一感があると言えますが、
この曲の場合、どこにも行けない閉塞感を感じさせると思いました。

シンプルなコード進行ながら、多用されるテンションや係留音が難解な印象を与えています。
この辺、エリック・サティの曲に共通する、さまよい感を感じます。

さらに装飾的に入ってくるトーンクラスターが、壊れた雰囲気を出してきます。

▼音色
・ノイズやブザーなどの非楽器音
・ピッチベンド、Sweep音

意外なアクセントのように上記の音が入ってきます。
ピッチベンドするエレピや、長い時間をかけてピッチが上昇、下降するSweep音は、ピアノと歌に慣れてきたところで、予想を裏切る効果がありますレイ・ハラカミの作品を思い起こしました。

最後は複数の歌が重なりあい、伴奏もどんどん不協和になって、壊れた感じが一層増します。
主人公のクライシスを思わせます。

▼まとめ
和音や旋律、リズムが少しクラシカルで格調高い世界を作り、それをトーンクラスターやピッチベンド、ノイズといった、繊細だけれど暴力的な音が壊していく。
彷徨う感じ・取り止めのなさが全体を覆っており、サビでは熱に浮かされたような、不思議な高揚感があります。

皆さんもぜひ、「憧れ歩く」を聞いて、感想を言葉にしてみてほしいです!

▼その他の楽曲
さむなうどさんは、他に2曲応募してくださいました。
「kawaii」「kawaii jazz」と銘打ってあるものの、いわゆる可愛さでも、スタンダードなジャズでもなく、少し壊れたような表現が共通しています。
これらの音楽を「かわいいジャズ」として提案するところに、オリジナリティを感じます!

Kawaii-early morning
giant stepsのように忙しい曲
さむなうどさんの曲は、バックビートにスネアが入るような一般的なダンスのリズムをあまり用いず、祭り太鼓のような単調なリズムが多いです。これが異様な、祝祭的な雰囲気を作っていると思います。

言葉の中に遍く
反転した言葉を使い、異国語や宇宙語のようなイメージ


さむなうどさんは、Soundcloud、youtubeにたくさんの曲をアップロードされています。
ここでは語り尽くせない独自の世界が展開されていますので、ぜひ皆さんにも聞いてほしいです!
楽曲の感想は、是非さむなうどさん(@smnuds)、片倉(@JunMusicInfo)までお寄せください🙏

引き続き皆様のご応募、お待ちしております!

憧れ歩く

想定しただろうか、十四歳少女
歌と音が結ばれなくなる今日を
恐ろしさ、つま先から針が伸びて
神経系は侵され、背を伸ばすの

寂しい、切ない、悲しい
(何も見なくていいからさ)
それでも、どうでも、いいでしょ
だめなことなんて何もないって言ってほしいよ

泣いても誰も見ていないよ、君が選んだ
今は、そういうものなのさ
優しさなどでは満たされないよ、わかっていたでしょ
だから、これまで歩いたの
珠玉の演が今

人の域や位置
その全て失われるなら
すばらしい はずかしいね
花の息、風が、認識を
湯気の中、幻が形つ躯
無垢ね

これは今に至るけれど、救われたのかな
それすらわからない事って、、、
「愛されないと、意味がないの」と
泣いたあの子の嘘なら、きっと綺麗

愛しい、触れたい、話を
何も嘘じゃなかった でしょ
信仰、信用、大丈夫
なんてことだ
ずっと、愛して、いるっていった私は

もうじきここらが頂きだ / 胸元漂う少女の証
ずっと 見えてた
偶像、幸せ願うなと / あたしの声じゃ作れない事実を
優しさ?それでも

漕ぎだした船の、泥を被った

私なら一度
同じことなぞるようでいて
嬉しさの嬰ですきに
爆の痕
羽が落ちるけど
雲の上すら
伸びる何も見えてないの

音楽なんかもいつか記憶のフックがほどけて
(君を汚したくはないからさ)
その瞬間価値なんかがなくなる、だから
そんな爆発の中何度も回すデータの円 / 悔し風が肌を冷やす
わたしだれになるのかな

折り目には異世界
後のページ終わりが来るよ
それまでに見合いたいな
押し抓んだ、肌の隙間触る
満たす水まで
わかるならば
またあえるね

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第一回「JUN MUSICが推す音楽賞」